転職しないと、昇給しないというのは、どういうことなのでしょうか? 転職と所得については、現在の世の中の変化と大きく関係しているのです。
暫く前(07春頃)のニュースだったと思いますが、日本人の貯蓄率が物凄く低くなって、04年度の各家庭の貯蓄に回した割合が2.8%と、 統計を取り始めた1955年度以降で最も低くなったという事です。
要するにこの50年で最低の貯蓄率です。
賃金やボーナスが伸び悩みで、更に高齢化が進んで貯蓄を取り崩して生活費に充てる老人世帯が増えたためという解説でした。
それとは別のニュースですけれど、日本は今好景気でいざなぎ景気に次ぐ長い好況らしいです。
でも景気は良くなって来ているのに全然実感がないという人が多のではないでしょうか?
これらの事はどういう意味があるんでしょうか?
確かに景気は結構前から良くなっていると思います。
例えば、コンビニに行くと良くわかりますが、コンビニは非常に短期間で商品の入れ替えが行われます。
ですからそれを見ていると、商品単価の引き上げなどちょこちょことやっているのがわかると思います。
微妙に高い価格の新製品を投入し、時期尚早と見ると直ぐに消えて、安い価格の別の商品に入れ替わります。
高い商品が売れれば、更に拡充したり高くしたりといった具合です。
しかし今回の好景気(?)は、全体的に良くなってきているというよりも、一部の人が良くなってきているという感じがします。
例えば、ビールなどでは、発泡酒から、更に安い第3のビールへと人気がシフトして、ついにこれらの中のビールのシェアが50%を割ったそうです。
その一方で、プレミアムビールも非常に伸びてきているので色々と新商品が投入されています。
もっともビールや発泡酒などの割合から見るとプレミアムビールの割合はホンの一部です。 つまりごく一部の人たちの需要が増えてきているという事でしょうか。
低価格化と高級化への流れが同時に起こっているのです。
しかし好景気といっても、それを享受できる人たちは一部の人たちです。
(もちろんビールくらいなら誰でも買えますが)
逆に賃金所得を得ている多くの人は、収入は殆ど増えていないのに税金やその他の負担はジリジリと増加してる。
当然、貯蓄に回す余裕はどんどん減って来るはずです。
日本はつい最近まで国民総中流という感じだったのが、ここ最近、急激に貧富の差がはっきりと分かれようとしてるのではないかと思います。
日本では年功序列というのが一般的でしたが、この年功序列制度も崩れつつあります。
一部の人は更に豊かになるけれど、貧しい人は更に貧しくなる。
実はこの貧富の格差について、感覚だけでなく実際に数値で表すものがあります。
ジニ係数というもので、社会の所得分配の不平等さを測る指標となるものです。
0〜1の数値で表され、0に近いほど平等で1であれば、1人の人が全ての所得を独占しているということになります。
0.2以下であればかなり平等だけれども、逆に向上心を阻害する懸念があり、
0・3程度で先進国では自然値とされているそうです。
0.4以上になるとかなり格差がきつくなり、
0.5を超えるとかなりやばい状態といったところのようです。
(0.5だと上位25%の所得者が全ての所得の75%を得ているという状態だそうです)
日本では1984年以上ずっとこのジニ係数が上昇して来ていて、2002年には0.4983にも達したそうです!
これは殆ど上位25%が全ての所得の75%を得ているという状態です。
巷では、一昔前から勝ち組とか負け組みと言う言葉が良く使われるようになっていましたが、これは単に流行語ということよりも、 そういった危機感の表れではないでしょうか。
因みに先進国ではジニ係数はアメリカがダントツで高くなっています。
日本はいつでもアメリカよりもずっと遅れてアメリカの来た道を辿って来ていました。
そして今度もまた..
怖ろしい事に日本も貧富の差が激しい国になろうとしているのです。
アメリカは非常に豊かな国で、世界でもっとも億万長者の多い国です。
それも2位以下の国をずば抜けて引き離すくらいに.
しかし平均所得では無く平均的な所得を見てみると、結構低くてビックリした事があります。
億万長者が多いのに、平均的な人の所得が低いとはどういうことでしょう?
つまり非常にお金を持った一部の人たちが平均を押し上げてはいるけれども、その仲間に入れない大多数の人たちはあまり豊かでないということです。
さてそれでは、欧米などの年功序列でない会社での賃金制度と言うのはどのようになっているのでしょうか?
今までの日本の様な年功序列であれば、長く勤めていれば自然と給料はアップして行きます。
企業トータルとしての人件費の支出は、年功序列であってもそうでなくても、当然同じです。
年功序列制度の支払いを賄うためには、若い人たちの給与の支払いを抑える必要があるのです。
バリバリ働く若い人たちの給与の支払いを抑えることによって、それを原資として長く勤めた人たちに篤く支払う事が出来るのです。
そして若い人たちにも、長く勤めれば同じ様になると言う事で納得して貰うのです。
しかし、もはや年功序列制は日本でも殆ど崩壊しています。
しかし、多くの企業では、若い人たちの給与体系は年功序列制度で抑えられたままの水準です。
企業にとってはわざわざ高く払う必要は無いと言うことです。
年功序列でないという事は、何年勤めていようが、そのままでは給料は全くあがらないという事です。
昇給する場合も(日本では未だ今のところ勤務年数などでも昇給はしますが)、あくまで前の給与が基準ですから、大幅に給料があがるという事は無いと思います。
大幅に給料を増やすには、同僚などの競争に勝ち抜いて、出世するか、更に良い条件の企業に転職するしかないのです。
そのため、欧米では数年程度で頻繁に転職するのが一般的なのです。
むしろ一箇所の企業に長く勤めるのは、転職したくても出来ないのであろうから、あまり有能でないとみなされるのです。
身近な例で申し訳ないのですが、わたしの周りの勤めの友人を見渡してみても、給料があまり上がっていないとこぼしているのは、全く転職していない者ばかりです。
転職の回数の多い友人ほど、転職の度に収入を増やしています。
会社を動かして、給与を上げてもらうのと、あなた自身が給与の高い会社に動くのと、どちらが簡単だと思いますか?
日本では未だ、転職は、今の会社に不満があるとか消極的な理由からの転職が多いように思えます。
しかし、欧米等のように、ごく近いうちにもっと積極的な理由での転職が増えて行くのは間違いないのではないでしょうか?